悲しき漏音
〜初めてのスタジオ入り〜
初めてベースだけを持って、
練習スタジオへ行くことになった。
場所は、梅田のスタジオKEY・Dst・・・
アマチャアバンドでいつも賑わうスタジオだ。
前に書いたように、べえすやのベースは、
まったく自慢できないF社のメキシコ製だし、
見た目も悪い”へなへな”ケースしか付いてなかった。
だから、今でもケースを持って歩くのが恥ずかしいのだ。
(あ〜いいケースほしいなあ〜)
※注:その後「RITTER」という、そんなに高くはないが恥ずかしくないケースを購入しました。
もう、堂々と道を歩けます(^^ゞ
で、ちょっとこっそり?早い目にスタジオ入りして、
ゆっくりタバコ(アメリカン・スピリット・ライト)をふかしていると、
待合室の壁には、メンバー募集の張り紙がギッシリ・・・
べえすやの目線は、「ベース急募!」と書いてある紙に、自然と移る。
(まだ、バンドで弾いたことあらへんし・・・ええバンドあらへんかな?)
しか〜し、期待はあっさりと裏切られてしまった。
「大阪近郊で練習」・・・(ええで!ええで!)
「プロ志向」・・・(まあ、ええやろ。夢は大きい方がええ!)
・・・と、ここまではOK!なのだが、
「コアなビートを刻もうぜい!」・・・(コアって何や?コアラなら知ってるけど)
「○△□☆(バンド名)・・・好ム。」・・・(ぜんぜん知らへんし、好んでもらっても困ル。)
「当方G.・・・Vo,B,Dr,Key求む」・・・(それって、独りちゃうのん?)
そして、決定的なのが・・・
(年齢が・・・みんな・・・若いんやあ・・・)
おっさんベーシストには、ブルースが漂う。
う〜む。
時間がきたので、気を取り直して、Dstに独りで入ることにする。
がら〜ん。
(え〜と、ベースアンプやね、これから・・・)
ドラムの横に、でっかいのを見つけた。
ピーヴィー社の高さ1メートルは、ある巨大なアンプだ。
(こんなデカイの差したことあらへんなあ・・・)
今回の文体は「〜やなあ・・・」という感嘆がやたら多いんである。
そして、いつもアンプを使おうとする時、あせってしまうのが、
電源ボタン。
正面にあれば問題ないのだが、しばしば後方にあったりすると、
毎回のことながら、
(あっあっ・・・電気入れるとこがあらへん・・・)
と、あわててしまうのだ。
少し落ち着いて、裏に隠れた電源ボタンをON!
「ボッ」
と、小さな音が鳴って、ちょっと安心する。
チューニングもせずに、とりあえず音が出るか?早く確かめたいので
おろおろとケーブルを差込み、ボリュームアップする。
「ズンズンズン・・・」
もちろんドリフターズの曲ではない。
そして出音は、思っていた以上の音圧感があった。
カラダ全部が震えるほど、感動〜!
(これや!ベースの音や!)
しばらく、陶酔的に弾きまくる。
めちゃくちゃに、音を出しまくる。
騒音としか言えない音でもかまわない。
音はカラダで感じるものだあ〜!
・・・
この時はまだ、スタジオのドアが半開きだったことに、
気付いていない、べえすやであった・・・
(*スタジオのドアの閉め忘れには注意しましょう。)
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